前回は、来瑠未堂がなぜ「くるみ」を主役に選んだのかをご紹介しました。第5話では、商品づくりの舞台裏についてお話しします。

店頭に並ぶお菓子は、どれも完成までの道のりが決して平坦ではありませんでした。理想の味や形を追い求めた、試作と改良の日々をご紹介します。

まるでくるみ!な「クルミッチェル」のお話

くるみの代表的なお菓子のひとつが、スイスの伝統菓子「エンガディナー」です。私たちは、そのエンガディナーの魅力を参考にしながらも、洋菓子の要素だけでなく、どこか和の趣を感じられるお菓子にしたいと考えました。

目指したのは、まるで本物のくるみを食べているようなお菓子!

まずこだわったのは見た目です。本物のくるみらしい立体感や凹凸を表現するため、プレス機を特注。焼き型も、くるみの殻の細かな表情まで再現できるよう細部にまでこだわりました。

もちろん、こだわりは見た目だけではありません。

中には程よい甘さと、とろりと溶けるような口どけのキャラメル。さらに、食感のアクセントとなるザクザクのくるみをたっぷりと加え、香ばしさと食べ応えを追求しました。

もちろん、ここにたどり着くまでには数々の失敗がありました。中でも苦労したのがキャラメルです。やわらかすぎると流れ出し、硬すぎると食べにくい。その加減がとても難しく、試作の中には、本物のくるみの殻並みに硬いキャラメルができてしまったこともありました。

こうして、何度も試作と改良を繰り返した末に生まれたのが、来瑠未堂を代表するお菓子「クルミッチェル」です。

中身までまるでくるみ!な「クルミッチェル」
中身までまるでくるみ!な「クルミッチェル」
試作時の様子
試作時の様子

くるみと聞いて連想する動物といえば?

くるみといえば、やっぱり「りす」。

そこで生まれたのが、「りすのわすれもの 最中クッキー」です。

モチーフにしたのは、くるみを抱えた横向きのりす。ころんとした愛らしさと、お子さまでも食べやすいちょうどよい大きさを目指し、オリジナルの型から製作しました。

しかし、実際の商品化は簡単ではありませんでした。

最中の中に絞るクッキー生地は、量が多いと溢れ、少ないと沈んでしまいます。その絶妙なバランスを見つけるまで、何度も試作を繰り返しました。

また、最中の皮は想像以上に湿気に弱いことも課題でした。試作段階では、せっかく理想の食感に仕上がっても、時間が経つと湿気を吸い、納得のいく状態を保てないこともありました。そこで、袋の材質を何度も見直し、包装までの作業工程も工夫。焼き上がったお菓子を素早く包装できる体制を整えることで、おいしさをできる限り長く保てるようにしました。

こうして完成したのが、サクサクとした軽やかな最中の皮と香ばしいクッキーが調和した「りすのわすれもの 最中クッキー」です。

オリジナル製作した最中のリス型
オリジナル製作した最中のリス型
ひとつずつ手作業で進めていく
ひとつずつ手作業で進めていく

ほんとのほんとに手作り

紹介した2つの商品を製造しているのは、サンクゼールのJAPAN Head Quarters(信濃町オフィス)内にあるお菓子工房です。

サブレを焼き、キャラメルくるみを詰め、くるみやチョコチップを並べる。そのすべてが手作業です。ひとつひとつ気持ちを込めて焼き上げたお菓子が、善光寺仲見世通りの店頭へと運ばれていきます。

「クルミッチェル」も、「りすのわすれもの 最中クッキー」も、試作回数は50回以上。完成まで半年以上をかけて磨き上げてきました。

目指したのは、どこにでもあるお菓子ではなく、来瑠未堂ならではの独自性を持ったお菓子。多くの手間と時間をかけて完成した自信作です。

「りすのわすれもの 最中クッキー」
「りすのわすれもの 最中クッキー」
看板商品「クルミッチェル」
看板商品「クルミッチェル」

次回、第6話では「この建物を、受け継ぐ。」―来瑠未堂の舞台となる、長生堂の建物についてご紹介します。どうぞお楽しみに。