前回は、サンクゼールと一軒の仏具店「(有)長生堂」との出会いをご紹介しました。第2話では、新規菓子事業が生まれるこの場所、善光寺仲見世通りそのものが歩んできた時間についてお伝えします。

建物の歴史

新しい店が誕生するのは、長野県長野市大字元善町。長きにわたり、仲見世通りに店を構えてきた建物です。

長生堂が扱ってきたのは、数珠や線香、仏具といった、祈りのための品々でした。参拝に訪れる人や、地域で暮らす人々の日々の生活に、静かに寄り添い続けてきたお店です。

長生堂がある善光寺 仲見世通り
長生堂がある善光寺 仲見世通り

仲見世通りの魅力

長生堂が店を構える仲見世通りは、それ自体が長い歴史を持つ通りです。はじまりは1694年。善光寺の如来堂が移転した跡地に、商人たちが集まり始めたのがルーツと言われています。1873年には「元善町」と名を改め、常設の店舗が並ぶ通りへと姿を変えました。1888年の長野駅開業を機に、参拝客はさらに増えていったといいます。

現在、仲見世通りは仁王門から山門まで約400メートル。本堂に向かう石畳には、江戸時代の1714年に敷かれたと伝わる7777枚の石が続きます。参道の両脇には39軒の宿坊、そして土産物店や飲食店など約50の店が軒を連ね、長野市を代表する観光地のひとつになっています。

雨上がりの石畳も風情あり
雨上がりの石畳も風情あり

この通りには、サンクゼール代表取締役社長の久世良太にとっても、深く心に刻まれた原風景があります。善光寺近くで育った久世少年にとって、仲見世通りは毎日の通学路であり、人の温かさに触れる学びの場でもありました。学校帰りには店先でそばまんじゅうをごちそうになり、汗ばむ季節には「暑かったでしょう」と差し出される一杯の水に心を潤されたこともありました。人と人とのつながりが自然に息づき、どこか懐かしく温かな空気が流れる仲見世通り。その情景や人々の優しさは、今も久世の心に大切な記憶として残り続けています。

この場所に込められた想い

長生堂が大切にしてきたのは、「平和や幸せへの願い」を人々に届けることでした。それは一軒の店だけでなく、善光寺が古くから育んできた精神でもあります。善光寺は特定の宗派に属さない寺として、江戸時代から性別や身分を問わず、多くの人々を受け入れてきました。宗派や国籍を超えて誰もが手を合わせ、平和や幸せを願うことができる。その大らかさは、今も変わることなくこの場所に息づいています。

新しい菓子事業が目指すのも、まさにその大らかさです。善光寺を訪れた人が、お菓子を手に取り、ほっと心をゆるめるひとときを過ごしていただくこと。仏具からお菓子へと形は変わっても、訪れる人に寄り添いたいという願いは、長生堂の時代からしっかりと受け継がれています。

多くの人で賑わう善光寺仲見世通り
多くの人で賑わう善光寺仲見世通り

次回は「来瑠未堂という名前が決まるまで。」ネーミングやロゴ開発の裏側についてご紹介します。