参道に漂う線香の香り、手を合わせる人々のうしろ姿。長野県・善光寺の仲見世通りには、何百年も変わらない時間が流れています。その通りに2026年10月、お菓子専門店が誕生します。手がけるのは、長野県・斑尾の小さなペンションから始まった食品メーカー、株式会社サンクゼール。「愛と喜びのある食卓をいつまでも」をコーポレート・スローガンに、ワインやジャムのサンクゼール、全国のうまいものを届ける久世福商店を通じて、信州の魅力を届けてきた会社です。
その会社が、なぜ今、善光寺の門前でお菓子事業に挑むのか。この連載「来瑠未堂ができるまで。」では、その"はじまり"からお店がオープンするまでの道のりをお届けしていきます。第1話は、プロジェクトが動き出すまでの経緯をご紹介します。
なぜ、サンクゼールがお菓子事業に挑戦するのか
サンクゼールの原点は、信州・斑尾のペンションでお客様に手渡していた一瓶のりんごジャムでした。「信州らしい体験と、おいしいもので、お客様に喜んでいただきたい」。その想いから、ワインやジャムの製造販売を始め、やがて全国のうまいものを届ける久世福商店へと育てていきました。
事業を続ける中で、サンクゼールにはずっと、お菓子の分野に挑戦したいという夢がありました。そうして全国を巡るうちに浮かんできたこと。それは、全国の歴史ある名所旧跡にある、その土地ならではの土産菓子の存在でした。創業当初から、手づくりのりんごジャムを"お土産"としてお客様に手渡してきたサンクゼール。その原点があったからこその着想でした。
仲見世通りの、一軒の店との出会い
構想を温めていたサンクゼールに、ひとつのご縁が舞い込みます。舞台は、年間600万人が訪れる信州を代表する寺院、善光寺の門前町。仲見世通りで1959年の創業以来、地域の人々に親しまれてきた仏具店「有限会社長生堂」との出会いでした。サンクゼールにとって、善光寺仲見世通りという立地に大きな「機」を感じた瞬間でした。
長生堂もまた、「平和や幸せへの願い」を、一つ一つの仏具に込めて届け続けてきたお店です。善光寺の門前で、長い時間をかけて紡がれてきた歴史と想いを次の世代へつなぎたいという長生堂の願いと、地域の食文化を未来へ紡ぎたいというサンクゼールの想いが重なり合い、2025年10月、サンクゼールが事業を受け継ぐことが決まりました。
新規菓子事業プロジェクト、始動。
信州のことを思い出してもらえるような、新しいお菓子を作りたい。若い世代にも長く愛される信州銘菓に育てたい。そんな想いから、信州をイメージできるお菓子とは何かという探索が始まりました。こうして立ち上がったのが、善光寺仲見世通りに新しい名物菓子ブランドを生み出す「新規菓子事業プロジェクト」です。
信州の豊かな自然や食文化、そこに暮らす人々の温かな心を、お菓子という形で表現し、訪れる方々に新しい信州との出会いを届けたい。みんなで力を合わせて、信州、そして善光寺を一緒に盛り上げていきたい。そんな想いのもと、2026年10月のオープンに向けて、商品開発やお店づくりが着々と進められています。
次回は「この場所が紡いできた時間。」建物の歴史や仲見世通りの魅力、この場所に込められた記憶や想いについてご紹介します。